通勤特急ゴッゴル(5)
数日前から続いている自分を取り巻く不審な動きは、今後も続くのだろうか。
見知らぬ相手から受け取った封筒を持っている以上は、恐らく監視を受け続けるだろう。早く受け渡してすっきりしたい。
日曜日の朝とくにすることもなく、デスクの上に無造作に置いた封筒に目をやった。あまり関心もなかったが、こうしてすることもないと何故か気になって仕方がない。
勝手に開ければ、開けたことが分かり、どんな対応が待っているのか不安があるが、それよりも中身を確かめたいという気持ちが強くなった。
用心深く糊付けをしたところを剥がし始めると、元通りに分からなく封ができそうだった。
ようやく完全に開け終わり、封筒の中身を取り出すとソフトケースに入ったコンパクトフラッシュカードだった。
自宅のデスクトップパソコンにそれを挿入してみると、読み込みをはじめたが、パスワードを要求する画面になって先に進めなくなってしまった。
しかたなく、カードのデータをそっくりハードディスクにコピーをして、再び封筒に戻した。
結局何も分からなかったので、気晴らしに自転車で近くをサイクリングすることにした。
新潟では雹にあったが、今日は晴天で気温もかなり高かった。デジカメで季節の変化を撮して、「秋味ぶろぐ」に投稿するのが最近の休日の日課になっている。
近くを流れる瑞穂川沿いに数キロ続くオフロードを、ふらつきながらしばらく走っていると、土手の下の川の際まで下りられる場所が何カ所かあり、それぞれビーチパラソルなどが差してあって、その下に判で押したように釣り人の姿があった。何人目かの釣り人の姿を見たときに、その釣り人が一瞬振り返ったが、目にはサングラスをかけていて携帯で誰かと話しているようだった。日がな一日釣りをする人間がわざわざ携帯で誰かと話しているという姿は奇異に感じた。
小一時間サイクリングをしてようやく自宅が見えるところまで帰ってきたが、自宅の庭から立ち去る人影が見えた様な気がした。
家に戻り部屋の中を一通り見回してみたが特に変わったこともない。
それに例の封筒すらそのまま置いてあり、人が家に上がって物色した形跡はなかった。
それから数日間は全く何事もなかったように日々が過ぎていった。
動きがあったのは6日目の晩のことだった。
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